ひな人形の中で唯一の庶民「仕丁」
ひな人形の段飾りの一番下の段に飾られる3人組「仕丁」。
「しちょう」、または「してい」と読みます。
喜怒哀楽を表現しているこちらのお三方、ひな人形の中で唯一の庶民。
地方からの労働者として、内裏様のお供や庭掃除など、宮廷の雑役としての仕事についていました。
ひいな 段飾り「若草黄檗」の仕丁
「仕丁」というのは、徭役(ようえき)といって君主が必要性から住民を無報酬で働かせることの一種でした。
ひいな 段飾り「薄桜若葉」の仕丁
大化の改新があった7世紀以前から存在しており、一里50戸につき2名と決まっていて、中央官庁などに3年交代で雑役夫として勤務します。
食糧など生活費の一切は故郷がまかなったため、かなりの負担となっていたとのことです。
ひいな 段飾り「昭二型」の仕丁
そして、こちらの仕丁の特徴は、その表情です。
仕丁は「三人上戸」とも言われ、泣き上戸、笑い上戸、怒り上戸で知られる表情豊かな三人。
故郷から離れて勤務している三人の、苦労や喜びなどが滲み出ているようで人間味が感じられ、親近感が湧いてきます。
その一方で、この喜怒哀楽を表現している表情には、表情豊かな子に育つようにという願いが込められているという説もあるそうです。
ひいな段飾り「花桃美空」の仕丁
櫻井昭寛が作るそれぞれの段飾りの仕丁の豊かな表情にもぜひご注目ください。